音樂を語る『宇津保物語』と『源氏物語』
The narrative of the music on Utsuho-monogatari and Genji-monogatari
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초록
本考察ではꡔ宇津保物語ꡕとꡔ源氏物語ꡕにあらわれた音楽の伝授過程や披露過程を辿ってみた。ꡔ宇津保物語ꡕとꡔ源氏物語ꡕにおける楽の伝授の相違は、光源氏から女三の宮へという「夫から妻への夫婦間の伝授」がꡔ宇津保物語ꡕでは成立しないことであった。仲忠は、光源氏のように、朱雀帝から妻の女一の宮への琴の伝授を要求されるが、それを拒否する。すなわち、俊蔭一族の琴の系譜は、横の系譜を許容しない構造であった。そこには、<家>の意識をもとにした、楽の伝授における禁忌や制限の問題をも絡み合っているからである。 また、このような楽の伝授過程には、<家>の意識の相違とともに、「物の師」に関する意識も相違を見せている。ꡔ宇津保物語ꡕでは<家>をめぐる血筋による伝授と、血縁とは関係ない「物の師」による伝授が明らかに分離されているのに対して、ꡔ源氏物語ꡕでは「女楽」のように<家>の意識を持ちながらも、「物の師」の立場から伝授するという二面性をもっている。このような、琴の伝授における<家>と「物の師」との意識の相違を基にした、楼の上でのいぬ宮への秘琴披露と、女三の宮への琴の伝授が契機となった六条院での「女楽」の披露には、政治的な権力の証として、又、死を迎る紫の上と俊蔭女の設定など類似点があるのだが、異なる結果を迎る。つまり、ꡔ宇津保物語ꡕとꡔ源氏物語ꡕに見られる男たちの演出による<女の楽>の披露のゆくえには、琴の伝授においての<家>の論理の保持と断絶、潜在王権の発揮と断絶という対照的な様相が見られる。そして、その男によって演出される<女の楽>の構成からは、ꡔ宇津保物語ꡕからꡔ源氏物語ꡕへの受容と変容を読みとることができる。
