漢語動詞の使役について -他動の意味を表すタイプを中心に-
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韓国語の漢語動詞の使役専用形式である「시키다」形の派生パタンは、一般動詞の使役形式の派生パタンとは異なる特異性を見せる。筆者は、拙稿(2011)において、漢語動詞の特異性に注目し、「시키다」形派生パタンを基準とする漢語動詞の分類を提示した。本稿で提示されている分類は、先行研究の分類を階層的に捉え直したものである。今回は、この分類の中から、他動の意味を表す「시키다」タイプを対象として論を進めた。他動の意味を表すタイプは、自発使役の意味を表す「시키다」形、[A-2-1]タイプと、他動「하다」形とほぼ同義を表す「시키다」形、[A-2-2]タイプに下位分類することができる。まず、他動の意味を表す「시키다」形の下位タイプ別に、その派生パタン、つまり、「하다」形と「되다」形の派生について分析した。また、「시키게 하다」形の派生と関連しては、典型的な使役の意味を表す「시키다」タイプ、[A-1タイプ]との比較分析を通して、他動の意味を表す「시키다」タイプに限って「시키게 하다」という二重使役形式が派生することを提示した。日本語の場合、使役形式は漢語動詞でも一般動詞と同じく「サセル」形のみなので、韓国語のような二重使役現象は見られない。さらに、両言語の[A-2-2]タイプ、つまり、「漢語+시키다・サセル」形が「漢語+하다・スル」形とほぼ同義を表す現象について分析を行った。ます、両タイプが同じ文内で取り替えが可能であることを確認した。なお、単純形があるにも関わらず、有標な形式(marked form)の「시키다・サセル」形が使われる原因について分析を試みた。「시키다・サセル」形が選択される場合、ヲ格補語には身体名詞のような動作主性(アニメイト性)の認められる名詞が置かれる傾向が見られた。その時、ヲ格補語は被使役者の役割を担っていることになる。このような結果は、一見曖昧な分析結果のように見えるかも知れないが、典型的な使役文を作る[A-1]タイプの「시키다」形からは見られない現象であることは動かしがたい事実であると言えよう。
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