軍記物語におけるアマテラスの様相 -覚一本⋅延慶本『平家物語』⋅『源平盛衰記』を中心に-
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本稿は、覚一本⋅延慶本『平家物語』⋅『源平盛衰記』のそれぞれ独自のアマテラス関係記事を中心に、アマテラスがどのように描写されているか、その役割と位置とはどのようなものか、という軍記物語におけるアマテラスの様相について考察してみたものである。覚一本独自のアマテラス関係記事において、アマテラスは、(1)神(社)の代表、(2)祟りの神として機能しており、延慶本独自のアマテラス関係記事において、アマテラスは、(1)皇子の守護神、(2)皇祖神、(3)軍の神、(4)天皇の守護神、(5)帝位を司る神としての神格を現している。そして、『源平盛衰記』独自のアマテラス関係記事において、アマテラスは、(1)国主、(2)神(社)の代表、(3)皇祖神⋅皇子の守護神⋅顕現する神、(4)出世を司る神─宝剣の霊験譚、(5)国主⋅大日如来の垂迹、(6)帝位を司る神、(7)アマテラスの分身─燧⋅剣⋅鏡としてその神威を現している。また、覚一本⋅延慶本『平家物語』⋅『源平盛衰記』の共通記事においては、アマテラスは、(1)皇祖神、(2)天皇の守護神、(3)軍の神、(4)伊勢信仰の具象化―伊勢公卿の勅使、(5)神(社)の代表、(6)国主⋅祟りの神⋅皇子の守護神として機能している。アマテラスは、覚一本『平家物語』において、神(社)の代表と祟りの神としての二種類の神格を現していたが、『源平盛衰記』独自のアマテラス関係記事においては十種類のように最も多く変貌しており、覚一本⋅延慶本『平家物語』に比べ、その機能と変貌の様相がより複雑化されていることが窺える。また、アマテラスの様相の頻度を合計してみると、皇祖神が3回、皇子の守護神が3回、国主が3回、神(社)の代表が3回、軍の神が2回、天皇の守護神が2回、帝位を司る神が2回、祟りの神が2回、顕現する神が1回、出世を司る神が1回、大日如来の垂迹が1回、アマテラス分身─燧⋅剣⋅鏡、伊勢信仰の具象化―伊勢公卿勅使が1回となり、軍記物語におけるアマテラスの様相は、全体的に皇祖神や皇子の守護神、国主、神(社)の代表として機能していることが多いと言えよう。
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