推量の助動詞「ん」から「う」への表記移行に関する考察
0
조회
0
다운로드
1
인용
0
참고문헌
키워드
초록
本稿は推量の助動詞「ん」と「う」の使用様相と文体的特徴および打消の助動詞 「ん(ぬ)」との関連性を通して「ん」から「う」への表記移行を考える時に説明されてきた既存の音韻的な特徴以外の観点から改めて移行要因を考察したものである。従来の研究では「ん」の発生時期は平安時代であり、「う」と音韻的に似ているので平安時代の末期に「う」に変化したと説明している。しかし、音韻的な特徴のみによる、表記形態の変化が生じた要因に対する説明は、「う」の発生を十分に捉えていないと考えられ、他の観点からの考察が望まれる。そこで、大蔵虎明本狂言集を対象に「ん」と「う」の使用様相および文体的特徴について分析を行った。分析の結果「ん」は179例、「う」は3,683例で、「ん」よりはるかに多くの用例が現れた。このことから中世後期からは「う」が一般的な表記形態になっていることが確認できた。そして「ん」と「う」では異なる文体的な特徴が表れた。「ん」は漢詩を引用した歌や謡、節のような地の文などで多く見られ、「う」は普通の会話文に多く使われた。また、「ん」は会話の部分でも神や出家、蝉の精霊、松の精霊、閻魔王などのような話し手による、気取った話し方や格式ばったことばに頻繁に現れることが発見された。その反面「う」は大名、太郎冠者、次郎冠者、婿など、狂言によく登場する人物の日常的な対話で現れた。このことは同じ話し手における台詞の中にも現れ、文章の性格により「ん」と「う」の使用が区別されていた。このことから「う」の使用が増えるに伴い、「ん」と「う」の使い分けが明確になったことが把握できる。そしてその背景要因としては文体に対する作者たちの認識が関わっていると考えられる。すなわち、表記が口語体を取るにしたがい、作者たちの間で「ん」は、「う」より古語的で文語的な文体であるという認識が強くなり、「ん」の使用が減少したと考えられる。また、分析結果からは、少数ではあるものの、打消の助動詞「ん」の用例が現れており、意味に混同が起きた用例も発見された。推量の助動詞「ん」と打消の助動詞「ん」は表記形態と接続形態が同じなので、当然混同が生じやすかったと考える。そしてこのような混同を避けるためには、一方は他の形に変わるしかない。それで文語的な要素を持ち、かつ使用が制限されている、運用性の低い推量の助動詞「ん」の方が発音上似ている「う」に移行しやすかったのではないかと推論できる。
참고문헌 (17)
- 江口正弘, "天草版平家物語の語彙と語法", pp.200~202 (1994), 笠間書院
- 大塚光信, "助動詞ヨウについてーその成立と性格", 国語国文, 31(4), pp.44~58 (1962), 京都大学国文学会
- 北川忠彦, "完訳 日本の古典 狂言集", pp.399~400 (1985), 小学館
- 北原保男, "大蔵虎明本狂言集の研究 上", pp.27~421 (1981), 表現社
- 北原保男, "大蔵虎明本狂言集の研究 中", pp.7~438 (1981), 表現社
- 北原保男, "大蔵虎明本狂言集の研究 下", pp.7~238 (1981), 表現社
- 此島正年, "国語助動詞の研究", pp.163~ (1973), 桜楓社
- 坂梨隆三, "第五章近代の文法Ⅱ(上方篇), in 講座国語史4 文法史", pp.496~497 (1982), 大修舘書店
- 高木市之介, "平家物語 上ꠓ日本古典文學大系32", pp.401~ (1959), 岩波書店
- 高木市之介の, "平家物語 下, in 日本古典文學大系33", pp.414~ (1960), 岩波書店
- 外山映次, "洞門抄物に見える助動詞『ヨウ』について", 国語学, 46, pp.16~27 (1961), 武蔵野書院
- 蜂谷清人, "助動詞『う』『うず』『うずる』の語形․用法に関する一考察ー狂言 古本を中心にー", 国語学, 86, pp.7~19 (1971), 国語学会
- 林和利, "狂言, in 日本古典への誘い100選 І", pp.220~ (2006), 東京書籍
- 布川角左衛門, "政治小説 坪内逍遥 二葉亭四迷集, in 現代日本文学大系1", pp.295~ (1972), 筑摩書房
- 前田金五郎, "浮世物語, in 仮名草子集", pp.241~352 (1965), 岩波書店
- 矢島正浩, "近松世話物における意志․推量ン終止形残存の意義", 国語学研究, 28, pp.28~40 (1999), 東北大学文学部国語学研究刊行会
- 吉田金彦, "現代語助動詞の史的研究", pp.173~ (1971), 明治書院
