多文化現場の教師間協働への模索 -日本国内非母語話者教師の現場調査から-
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本研究は、多文化化が進む社会的状況を背景に、日本国内の日本語教育現場に新たに参与し、日本語母語話者教師(Native Japanese Teacher;以下、NT)とのティー厶・ティーチング(Team-teaching:以下TT)経験を持つ現職の非母語話者日本語教師(Non-native Japanese Teacher;以下、NNT)の実践経験から、日本語教育現場における「教師間協働」へのプロセス、在り方を模索するものである。本調査では、日本国内の日本語教育現場で約3年間TTを経験した現職経験者、NNT10人を調査対象者として、各自のTT経験を振り返ってもらった。当時、NNTが担当したクラスは、日本国内某私立大学の日本語教育研究センターで開設された三つの「教科書型」日本語授業、初中級クラスである。調査時点(2010年~現在)において、NNTの多くが出身国に戻っているため、調査方法として個別メール、電話、チャット、質問紙調査を併用し、記録の文字化・コーディングを行った。調査項目の詳細は、(1)NNT自身の現在の状況の語り、(2)TT前後のイメージの変化-「日本」「日本人」「日本語」についての質問紙調査、(3)日本国内現場のTT経験の振り返り-求められる役割、教育能力・資質などに関する語りと質問紙調査である。調査結果、NNTは、全員、日本国内におけるTT経験を有意義であったと答えた。また、NNTに求められる資質、役割に関しては「人間性」を高く評価する反面、「専門的な知識」の必要性を強調していた。一方、日本国内現場に対する不安と期待に関してはNNTのTT体験による個人差が強く現れ、肯定的な評価と否定的な評価に分かれた。NNTは、TTの中で経験した①担当授業・科目の偏り、②非対称的役割の分担、③「内」と「外」の隔たりを問題として語った。 現在、日本語教育現場の参加者間の「協働」は、学習者側を中心としているが、今後、現場の教師間協働を模索するTTは、形を変え、試行錯誤を重ねながらも確実に進むと考える。また、教師間協働のプロセスとしては、先ず、教師を対象とした異文化・多文化理解教育が必要であると考える。そして、実際、教師間協働を行うためには、メンバー同士のコミュニケーションをサポートする必要があり、段階的なネットワーク形成が求められると考える。今後、更に多くの教師間協働の事例を見ていき、より良い協働に向けて新たな提案ができるような「協働モデル」を考えていきたい。
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