明治期の対称代名詞 - 国木田独歩の作品を資料として -
Symmetry Pronoun of the Meiji Era Period
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本稿では明治期の人間関係や把握意識の変化に着目し、それが顕著に反映される対称代名詞について取り上げる。従来の先行研究では、明治期そのものを対象とした対称代名詞の体系についての研究は少なく、その中でも特に明治30年代の対称代名詞の体系については研究がなされていない。本稿では明治期の対称代名詞を知る一環の一つとして、明治30年代を中心に書かれた国木田独歩の25作品を通し、当時の対称代名詞の体系を明らかにする。調査は、明治30年代に発表された国木田独歩の25作品を用い、用例を抽出後、計300の対称代名詞について、非親族に対する発話と親族に対する発話とを分類し、その中で性差、階層差、上下関係、文体の観点から考察を行った。調査の結果、使用される語形は非親族に対する発話の場合、男性の話し手は「あなた」「きみ」「おまへ」「おまへさん」「あんた」の5形式、女性の話し手は「あなた」「おまへさん」の2形式であった。親族に対する発話の場合は、男性の話し手は「おまへ」「あなた」の2形式、女性は「おまへ」「あなた」「おまへさん」の3形式の語形を用いる。非親族に対する発話の場合、話し手が知識層の男性では、「あなた」の待遇領域は高い待遇度から低い待遇度まで用いられており、領域が広い。「きみ」は同等と目下の聞き手に用いられ、「あなた」より文体の面からも待遇度が低い語形である。「おまへ」は主に目下の聞き手の場合に用いられ、最も待遇度の低い語形である。話し手が非知識層の男性では、「きみ」が用いられることから、明治30年代に対称代名詞としての「きみ」が既に広がり始めていることが新たに明らかとなった。親族に対する発話の場合は、階層・性別に関係なく、目上の聞き手に対しては「あなた」が用いられることが共通している。対する目下の聞き手に対しては「おまへ」が多く用いられることが顕著である。先行研究では「おまへ」が明治後期に男性において目下の相手に対して多用される語形であるとされてきたが、それは親族の目下に対して用いられた用例が多く含まれている可能性が高い。また非親族の女性では「おまへ」が用いられない調査結果から、親族に対するの女性の「おまへ」は、目下の親族にのみ用いられるようになるという先行研究の指摘が、明治30年代においても認められることが明らかとなった。
참고문헌 (9)
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- 小島俊夫, "貴殿・貴所・貴公・貴様・君・そち・其方(そのほう) in 後期江戸ことばの敬語体系" (1974), 笠間書院
- 小島俊夫, "後期江戸語敬語体系における"あなた・おまへさん"", 日本語と日本文学, 34 (2002), 筑波大学日本語日本文学会
- 小松寿雄, "江戸東京語のアナタとオマエサン", 国語と国文学, 73~110 (1996), 東京大学国語国文学会
- 小松寿雄, "キミとボク-江戸東京語における対使用を中心に-", 東京大学国語究室創設百周年記念国語研究論集, ~
- 近藤明日子, "明治末期の二人称代名詞―『太陽コーパス』を資料として― in 日本語日本文学論集" (2007), 笠間書院
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- 房極哲, "明治期の二人称名詞「アナタ」「オマヘサン」「オマヘ」―その諸形と性差との関わり―", 日本語と日本文学, 31 (2000), 筑波大学日本語日本文学会
