表現の自由と差別的表現,小林 直樹
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초록
差別的表現は、人種、民族、信教、心身の障害、出自、性別および性的指向性等へ の偏見を動機とし、特定個人または集団に向けられる差別の助長を意図する表現とし て考えられている。問題となるのは、この様な表現も「表現の自由」に含まれるか否 かである。各国は、国連総会で採択された人種差別撤廃条約および国際人権規約を批 准し、人種・民族差別問題の解決に取組んでいる。特に欧州、|では、過去のナチズムの 経験から人種・民族差別的言論についても刑事罰の適用に積極的である。日本も、差 別にともなう差別的表現の事例が少なくないため、この問題に対する関心は高いが、 現在、法的規制には至っていない。その理由として、個人の自己実現および自己統治 という社会的価値に支えられた「表現の自由」は、憲法の価値序列において高い保護 を付与されており、表現を規制する場合は、厳格な違憲審査基準を通過しなければな らないためである。しかし、近年の学説は、マイノリティ・社会的弱者の権利を重視 し、差別的表現に対する条件付規制論を展開するものが少なくない。表現の自由を重 視する規制反対論およびマイノリティ・社会的弱者の権利を重視する規制容認論によ る原理的考察を通じて、今後、日本は厳しい価値選択を迫られるであろう。
Abstract
差別的表現は、人種、民族、信教、心身の障害、出自、性別および性的指向性等へ の偏見を動機とし、特定個人または集団に向けられる差別の助長を意図する表現とし て考えられている。問題となるのは、この様な表現も「表現の自由」に含まれるか否 かである。各国は、国連総会で採択された人種差別撤廃条約および国際人権規約を批 准し、人種・民族差別問題の解決に取組んでいる。特に欧州、|では、過去のナチズムの 経験から人種・民族差別的言論についても刑事罰の適用に積極的である。日本も、差 別にともなう差別的表現の事例が少なくないため、この問題に対する関心は高いが、 現在、法的規制には至っていない。その理由として、個人の自己実現および自己統治 という社会的価値に支えられた「表現の自由」は、憲法の価値序列において高い保護 を付与されており、表現を規制する場合は、厳格な違憲審査基準を通過しなければな らないためである。しかし、近年の学説は、マイノリティ・社会的弱者の権利を重視 し、差別的表現に対する条件付規制論を展開するものが少なくない。表現の自由を重 視する規制反対論およびマイノリティ・社会的弱者の権利を重視する規制容認論によ る原理的考察を通じて、今後、日本は厳しい価値選択を迫られるであろう。
