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区分所有建物のおける多数決による合意形成-日本とドイツの規約制度の検討を通じて-,藤巻 梓

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日本で建物区分所有法が制定されてからすでに40年以上が経過し、今日、区分所有 建物は都市における主要な居住形態として定着した。しかしそれに伴い、特に都市部 では、区分所有建物における様々な問題が顕在化してきた。その主たるものが、区分 所有建物の維持及び管理の問題、さらに建築後相当の年数を経過した老朽化マンショ ンの増加である。これらの問題に対応するため、区分所有法は二度の改正を経て、区 分所有者の合意形成に多数決原理を広く導入することでその団体的拘束を強化してい る。意思決定の円滑化の観点から見れば、これらの改正の有する意義は大きいもので あると考えられる。しかし、現行法の下ではなお多くの検討課題が残されている。民 法上の物権の特別形態として規定される区分所有の自由は最大限に確保されるべきで あり、それゆえ区分所有建物においては、良好な居住環境の形成ための、区分所有者 の多数決による規律にもとづく私的自治の承認と、区分所有者の権利の保護の要請と をいかに調整するかが重要な課題となるのである。この問題を規約制度について見る と、制定当時にドイツ法の影響下で全員合意原則を採用していた日本の区分所有法は、 その後の改正を経て、すべての規約事項を一律に区分所有者の多数による決定に委ね、 少数反対者の利益の保護を利益の衡量の問題としている。そこで、日本の区分所有法 について、区分所有権における規約の位置づけと多数決の妥当範囲を再検討し、事柄 に応じた合意形成のあり方を探る必要があると考える。

Abstract

日本で建物区分所有法が制定されてからすでに40年以上が経過し、今日、区分所有 建物は都市における主要な居住形態として定着した。しかしそれに伴い、特に都市部 では、区分所有建物における様々な問題が顕在化してきた。その主たるものが、区分 所有建物の維持及び管理の問題、さらに建築後相当の年数を経過した老朽化マンショ ンの増加である。これらの問題に対応するため、区分所有法は二度の改正を経て、区 分所有者の合意形成に多数決原理を広く導入することでその団体的拘束を強化してい る。意思決定の円滑化の観点から見れば、これらの改正の有する意義は大きいもので あると考えられる。しかし、現行法の下ではなお多くの検討課題が残されている。民 法上の物権の特別形態として規定される区分所有の自由は最大限に確保されるべきで あり、それゆえ区分所有建物においては、良好な居住環境の形成ための、区分所有者 の多数決による規律にもとづく私的自治の承認と、区分所有者の権利の保護の要請と をいかに調整するかが重要な課題となるのである。この問題を規約制度について見る と、制定当時にドイツ法の影響下で全員合意原則を採用していた日本の区分所有法は、 その後の改正を経て、すべての規約事項を一律に区分所有者の多数による決定に委ね、 少数反対者の利益の保護を利益の衡量の問題としている。そこで、日本の区分所有法 について、区分所有権における規約の位置づけと多数決の妥当範囲を再検討し、事柄 に応じた合意形成のあり方を探る必要があると考える。

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