始動を表す局面動詞の文脈における役割
The role in the context of the compound verb denoting inchoative Aktionsart
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本稿では、「局面」を、話し手の主觀的な時間構成において捉えられた、特定の運動の內的過程の一部分とする。ここで、話し手による主觀的な時間構成といったのは、このような特定の運動の特定の局面がとりたてられる背景には、話し手の現實の世界の出來事に對する時間構成、出來事と出來事との時間關係に對する主觀的な見解が土台となっているからである。つまり、內的過程のどの部分に焦点が當てられ、またどの部分がとりだされるかは、結局、話し手が何を言いたいかという主觀的な問題と密接な關わりがあると考えられる。 現實の世界で絶え間なく發生し、消滅していく無數の出來事のうち特定の運動の特定の部分だけが局面動詞という形式を借りてとりたてられているとすれば、そこには、話し手が話の展開の中で局面動詞を用いてそのような局面を特徵づける必要性、つまり局面動詞を使わなければならなかった理由があるはずである。そこで、文脈の中で局面動詞の果たす役割とは何かという疑問が生じる。 ここでは、とりあえず、これまで考察してきた意味考察を足がかりに、「時間」と「変化」という、二つの觀点から考察を試みた。 まず、「時」という觀点からは、1)始動の局面をとりだすことによって、特定の運動の開始時間が具体化されることが多いこと、2)特定の運動の始動の局面は、時間の流れの中で隣接するほかの出來事の時間と密接な關わりを持っていることに注目し、それぞれ「開始時間」と「時間關係」が强調されることを考察した。 次に、「変化」という觀点からは、始動を表す「~はじめる」が全体として「変化動詞」であることに注目し、「開始」と「開始する運動」そのものが强調されることを考察した。 結論的に言えば、始動を表す局面動詞「~はじめる」は、文脈、特にほかの出來事との時間關係において、前項動詞の表す運動そのものをとりたてることによって、開始される動作や変化や狀態がこれまでの狀況において、あるいはこれからの展開において、ほかの出來事と密接な關連性を持っている。 これは、話し手の、特定の運動の出現に對する意味づけでもある。すなわち、現實の世界で起こり消滅していく無數の出來事のうち一つだけが選ばれ、しかもその出來事の特定の局面がとりだされるということは、新しい運動の出現に注目させて、開始及び開始する運動そのものに焦点を置く結果になる。ここで、聞き手の注意を新しい運動の出現に向けさせながら、ほかの出來事、特に次の場面への關連性を强く暗示するという局面動詞「~はじめる」の機能、役割が生じてくるのである。
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