時を表す「タラ」表現
「TARA」as a Time Expression
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초록
本研究では、時と関連する「タラ」について考察を行った。多くの従来の研究で「タラ」表現は、文末が過去の場合を除いては条件表現として扱われてきた。ところで、「タラ」表現には、起る予定や必然的に起ることになっている事柄が前件になっているものがあり、これも見方によっては条件表現の範疇での扱いができないわけではないが、この場合の「タラ」がほんとうに表そうとしているのは、条件でなく、時なのである。本研究では、まず、このような前件を持つ「タラ」を、条件ではない、時の表現と見るべきいくつかの根拠を提示した。それは、この「タラ」が、「どうしたら」より「いつ」で質問された方が自然なこと、この「タラ」文が過去になった場合に用いられる「カラ」が理由ではなく、状況を表すということ、そして多くの研究でこの「タラ」と同じ意味と言われている「テカラ」が実は条件とは何の関わりがないこと、である。 それから、他にも未来を表す表現があるにも関わらず、いわば時の「タラ」で未来の事態を表すのは何故か、つまり未来のときを、時の「タラ」を以て表した場合に得られる効果、意味合いについて考えた。ここで言えることは、日本語には未来の時のマーカがなく、時の「タラ」がその役割を果たし、未来の表現の一軸を担っている、ということである。この、時の「タラ」は、前後文脈によって前件か後件のどちらかに焦点が当たるようになるが、「いつ」で質問されたり前件と対比される事柄があったりする場合には前件に焦点が置かれ、文脈の流れからして話者と聴者の両方に前件が知られているような場合には後件に焦点が置かれるようになる。前件に焦点がある場合の「タラ」は、「未来のそのときとその後にかけて」という、はっきりしない、ときに幅をきかせた漠然とした時を強調しているのであり、後件に焦点のある場合の「タラ」は、そのはっきりしない時を後件の状況として、一種の前置きのような感じでさりげなく後件に添え、話者がほんとうに言いたがる、メインの後件を文脈の中で唐突でなくさせる形にしているのである。前件が未来の時として働き、しかもちょうどそのときと言えない漠然としたところに、時の「タラ」の特徴が伺えるわけである。 最後に、このような、時の「タラ」と同じ意味として言われている「テカラ」との対照を行ってみた。実は、時の「タラ」のうち、とりわけ前件に焦点が置かれる「タラ」が「テカラ」と意味的に近接するようではあるが、前件の時を強調する「タラ」と、もっぱら時間の前後関係に注目する「テカラ」は基本的なスタンスが異なる表現であることを否定することはできず、これらの表現間のギャップは埋まりそうにない。以上の考察を通して、確実に起ることになっている未来の時の「タラ」の特徴と意味役割を明らかにすることができたと思われる。
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