国字本『どちりいなきりしたん』編者の表記の意図 ー平仮名の使用を手がかりにー
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초록
本稿は不特定多数に布教を目的として作られた国字本『どちりいなきりしたん』(1592年頃刊)の平仮名の使用に注目して編者の表記の意図をさぐることを目的とする。ここで国字本『どちりいなきりしたん』を選んだのは、キリシタンの文字社会を記述するためである。また、国字本『どちりいなきりしたん』は、キリシタン版国字本の中で最初作られた文献で、編者の表記の意図があらわれやすいと判断したからである。調査の結果は以下のとおりである。 ・国字本『どちりいなきりしたん』の字体数は74で大衆の普通の用字法に近づいて行ったものとされる「草双紙類」の字体数に近かった。また最も収斂された段階にある文献といわれる後期浄瑠璃本の字体と比較した結果、8割以上が共通していて、国字本『どちりいなきりしたん』の字体が基本的で収斂に向かっていたことが分かった。・国字本『どちりいなきりしたん』の字体を、当時の実用的な文書である東寺百合文書の字体と比較を行なった結果、94.6%の一致率をみせ、国字本『どちりいなきりしたん』の字体が最も実用的であったことも分かった。・異字母異字体のものと同字母異字体のものとの間に字体使用の違いは見られなく、両方当時の奈良絵本、仮名草子整版本のような文学作品や東寺百合文書のような実用的な文書の字体使用のように多用字体、少用字体の区別を行なっていた。さらに、多用字体、少用字体の中で一部は語の位置や音によって字体を区別して使う傾向をみせた。・当時の文学作品や実用文書の字体使用と似ていながらも、濁点付き専用字体、助詞、助動詞の専用字体、字音語・本語の専用字体を持つほど、字体使用に非常に気を使っていたことが窺える。 上記のような結果は、国字本『どちりいなきりしたん』が不特定多数を目的とする基本教理書である面を十分考慮して字体を実用的で収斂されたものにし、その字体使用に注意をはらった編者の意図と深く関係があると思われる。
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