기리시탄 資料의 「大切」와 「大事」의 考察
キリシタン資料の「大切」と「大事」の考察
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本稿は日本中世キリシタン文献にあらわれる「大切」と「大事」を対象としてその語義変化について考察したものである。鎌倉⋅室町時代の語彙を考察するにあたって、その時代の言語を知る上で特別に重要な文献はキリシタン関係の資料である。キリシタン資料は十六世紀後半から十七世紀前半にかけて来日したカトリック宣教師たちが、キリスト教の布教のため作成したもので、日本語をローマ字で記した文献も含まれている。その中には天草版『イソポ物語』『平家物語』『金句集『等をはじめとして、当時のキリシタン文学の代表的な『ぎやどぺかどる』『こんてむつすむん地』等の宗教書がある。これらの資料は『狂言』などの文献とともに当時の日本語を知る為の貴重な資料である。本稿ではキリシタン語彙の中で、「大切」と「大事」を対象として、その意味と特質、語義変化を歴史的に考察した。「大切の考察」では、中世では「大切」がどのような意味に用いられたか、中世のキリシタン宗教書と日本文学書と比べ、どういう相違が見られるのか、そして、この語の類義語はどうであるか、などについて考察した。分析結果を見ると、キリスト教が愛の宗教であるが、キリシタンは愛という言葉は避けたことがわかる。一六世紀後半、日本に来航した宣教者たちはアガペーとエロスを峻別するためにamorという語を「愛」という紛らわしい語に対置させることをさけ「大切」あるいは「御大切」と「恋」とに使い分けた。意味用法そして語彙の変化においては、「大切」という語の同意語として「大事」という語が別に存在し、「大事」、又は「大切」にするともいって、物事の重要さ、尊重さをあらわすのに使っている。動的には物事の切迫を表わし、静的に物事の切要を表わすので、意味相通ずるのであるが、「大切」はプラス「大事」はマイナスの評價的の意味を表わす例である。又、「大切」の場合は切要と重要の意味より尊重の意味の言葉として発達してきた。他の文献との比較を通して、大切と大事を比較検討して見ると、「大切」の場合は『ぎやどぺかどる』と『こんてむつすむん地』に多く見られ、『イソポ物語』『平家物語』『狂言』の順にあらわられる。内容的にはキリシタン宗教書の例が多く、次にキリシタン文学書、日本文学書の順にあらわれる。その類語の「大事」の場合は、日本文学書、キリシタン文学書、キリシタン宗教書の順にあらわれる。これは要するに「大切」という語が切迫緊急という意味や、緊要重要という意味があったところからして、その「重要」の義より「尊重、愛重」の義に移り、それが当時のキリシタンによって「神の愛、霊的愛、神聖なる愛」という内容を持たせられたこと、すなわち、宗教的で特殊な意味用法として用いられたことは日本国語史上注目すべきことだと思われ、それは語義変化の一例として見逃してはならないと考える。以上、本稿ではキリシタン資料の中で宗教的で特殊な意味用法に使われた用語についてその語義変化を大體的に考察して明らかにした。しかし、まだ「語彙全般の体係的研究」には残された課題が多くて今後も引き続き研究して行く考えである。
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