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『平家物語』における漢籍說話の一考察 - 燕丹說話をめぐって -

A focus on the Chinese story, Entan, as contained in the Japanese tale, HEIKE

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주제분류일본어와문학

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Abstract

『平家物語』の文体が和漢混交文であることは、よく知られており、改めて說明するまでもなかろう。しかし、作品が文体として依存している「和」・「漢」混交の實態やその意味については、さらに檢討を要すと思われる。この作品で用いられる文体にはしばしば漢語が採用されるだけに、漢字文化圈に屬する外國人の視点からの考察は、新たな知見を得るための基礎作業となることが期待できるであろう。 そこで、小論は、『平家物語』における漢籍說話の考察を試み、その<創造>と<継承>の關わり合いの問題、すなわち<受容>と<変容>の實態の解明を目指した。今回、ここで一つの手がかりとして取り上げるのは、『史記』「刺客列伝」(荊軻伝)と關連性が高く、且つ說話性の强い卷5の「咸陽宮」をめぐる問題についてである。 「咸陽宮」という漢籍說話は、燕丹說話とも言うべきものであり、『平家物語』においては、主人公の平淸盛が朝敵としての源賴朝の擧兵を責めることに對応する說話である。和漢混交のレベルで言えば、「漢」の燕丹說話を語るこの「咸陽宮」と、「和」の賴朝の位置付けを明確に示す卷5の「早馬」「朝敵揃」の二者は明確な對照を示す。その結果、この對比によって和漢混交の構図が鮮明に際だたせられ、日本の「朝敵」と見なされる賴朝を、中國の燕丹に譬える構図が作り上げられている。そのため、「忘恩」「天罰」「朝敵」の三つと、「咸陽宮」の燕丹說話とが作り上げる相對的な構図が、テクストに如何なる意味づけを行うものとして機能しているかという点が問題になってくる。小論がとりわけ重点的に考察しようと意図しているものは、他でもなくこの点である。

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