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中世の尼の一考察(1) - 出家の諸形態について -

The consideration about a Buddhist nun in ancient times - with several patterns of woman's entering the priesthood -

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中世において多様な存在形態をなしていた女性の実態を妻‧母という限定された局面でのみ理解することになりやすい。というのは、家族に抱合され妻‧母としての地位をもった女性の研究から明らかになる女性像は中世女性の一部であって、すべてではないということを意味する。中世社会においてはさまざまな形で存在した家族‧世帯を形成しなかった、言わば中世女性史の周辺的部分を形成した女性の在り方を解明することは家族中心に行われてきた中世女性史の全体像を見直して見るということで、本稿では家族内的位置づけから排除された女性を考察の対象にしようとする。大きく尼僧․遊女․巫女などが挙げられるが、まずは尼について検討することにし、特に今回は尼は女性であり、女性と仏教という課題を取り上げる上で尼に対する第一の考察として「出家の諸形態」について検討してみる。女性出家の諸形態を大別してみると、女姓自身の老․病․死に関わる現世及び來世の救いのための延命․臨終出家、夫․子供․主君などの死者供養のための出家、職業的な比丘尼となるための幼年出家などがあり、離婚としての出家などもあった。此の他にも刑罰としての出家、勘当後の身の処し方としての出家など、多種多様な契機や事情があったわけである。このような出家原因の基本的枠組みは、古代と変わらないものが多いのも事実であるが、中世的な特徴をいくつか挙げてみると次のようである。  まず、中世では来世を考え仏教的な環境の中で晩年や最期を迎えることが古代以上に一般化していた。このために老若․貴賤を問わず、死を予感した人々は出家を志し、男は僧、僧は尼としての法名を豫め得る出家を遂げて死を迎えることが増加している。つぎに子の増加のため、出家と婚姻や家政とのかんけいが、古代ほど厳密に解決されなくなったことも特徴の一つである。そして、夫の菩提のために出家したり自分の延命のために出家した尼が、その後も家政に携わることが多くなっている。また婚姻関係においては、夫生存中の妻の自由出家は婚姻の解消となるが、夫死亡後の夫の菩提供養の出家は婚姻の解消とならず、妻の夫方への帰属を継続させることに繋がると考えられる。さらに、僧におけると同様に幼年出家が尼について増加し、職業的な尼の存在が家族や社会に一定の役割を果たすようになったことも、その特徴の一つであろう。

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