日本語の感情表現に対する 韓国人日本語学習者の認知実態 ー「嫌」の感情表現を中心としてー
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本稿では、日韓両国語の「嫌」の感情表現を対照分析した上で、日本語の感情表現に対する韓国人日本語学習者の認知実態を明らかにすることを目的とする。「嫌」の下位範疇としては「不満/不機嫌・軽蔑・憎しみ・恥ずかしさ/気まずさ・面目/対面」などを設けた。分析方法としては、まず4節で文献から収集された75個の「嫌」の感情表現を下位範疇別に分類した後、日韓両国語の共通表現と固有表現に分けてそれらの特徴や相違点などを考察する。次に5節では両国語の固有表現に対して日本語母語話者(72名、以下J)と韓国人日本語学習者(180名、以下K)の認知実態をも調べてみる。 分析結果としては、(1)人間の基本感情のうち味や食欲の低下などで表される感情は「嫌」のみであるが、同じしかめた顔を表す際、韓国語には「大根の下葉や雨に降られた顔つき」、日本語には「つむじ・冠」などの素材が使われる特徴が見られる。(2)嫌の下位範疇である「軽蔑」の感情表現においては、冷淡な目つきを「白い目」で表現したり嘴が黄色である雛に譬えたりするものは日本語のみで、韓国語には「耳殻」を用いた表現がよく見当たり、新生児に譬えたりする表現がある。(3)「배가 아프다(腹が痛い)」は、韓国語では「嫉妬・嫉視」の感情を表す固有の慣用表現となるが、日本語ではただの身体的な痛みを表し、その慣用的な意味を失ってしまう。ここで韓国語の「배(腹)」には日本語の場合のような「怒や癪」などの感情が入っていないと考えられる。(4)予想外れの状況で感じられる際の感情表現においては、「顔や面目」ほどでしか使われない韓国語より日本語の方がより多様で「顔や面子、肩身、極まり」などの多様な語句が使われる。 一方「嫌」の感情表現に対する認知実態を調べるアンケートでは、kaの正解率がkbを上回っている調査結果が目立つ。これは感情表現に関する学習能力が日本語学習段階が上がるにつれ自然に上がるものではないということを示唆する。
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