ビジネス場面でプレゼンテーションをめぐるインターアクション ― 2名の韓国人ビジネス関係者を対象とした質的分析より ―
Interaction over the presentation in the business scene―Than qualitative analysis for the Korean business personnel of two―
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本研究では,日本で異なる職場に勤務している2名の韓国人ビジネス関係者(以下,KB1とKB2と略述)が実際に行うプレゼンテーション(以下,PTと略述)の遂行過程に着目する。研究目的は,その過程の中で各自がどのような困難を意識しており,これを克服するために各自の自ら工夫し実行している自然なインターアクション行動の一端を捉えることである。データは,KB1とKB2に対し,インターアクション․インタビューを行い,その結果を文字化したものである。このデータに対し,「解釈的アプローチ」による分析を試みる。さらに,「インターアクションの社会言語学」における4つの概念―「ストラテジー,メタメッセージ,場面の手がかり,フレーム」―を使用し,データ分析の考察を深める。分析考察の結果,KB1から,まず,PT中に変化する文脈を考慮しているものの,この文脈に合った適切な表現選択と迅速な言語化に困難なときが観察された。次に,これに対し,PTを行う前に,PTにかかわる要点整理と予備資料作成というストラテジーを工夫し準備しており,これらの使用はPT時に相手(経営陣)との専門的知識にかかわる話し合いを自律的に行うのに正の影響に作用していた。最後に,KB1はPTがうまく進まないまま終了した場合,場所や表現を変え経営陣と繰り返して接しており,その時,ことばの明示的な意味と専門的知識にかかわる話し合いを試みる中で,「納得のフレーム」が形成されるとPT内容に関する相互理解に至った。KB2からは,PTの開始前に試作品を参加者(相手)に配る時,両手で渡す動作をとっており,この動作はKB2と参加者にとってPTの「円滑な進行に対する期待のフレーム」形成に寄与していた。次に,PT中に,スピーチレベル(敬語と丁寧語等の)․シフトによる文脈上の意味の伝達及び理解に困難を感じていた。これに対し,メディアを通して,このシフトにかかわるリソースを得ており,これを言語化するストラテジーを使用していた。これによって困難の軽減に至っていることが観察された。最後に,PT中に,KB2は相手から対人関係を重視する言語使用―a.文脈上の意味伝達,b.謙譲表現―による提案があったとき,理解ができないことが浮き彫りになった。これに対し,KB2はことばの明示的な意味と敬語不使用による確認要求ストラテジーを用いており,これらが相手からの多様な提案を理解するのに役立っていた。
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