『浮雲』と『破戒』に現れた待遇表現の考察 -動作についての待遇表現形式を中心に-
A Study of Honorific Titles in UKIGUMO and HAKAI
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Abstract
本稿では二葉亭四迷の『浮雲』と島崎藤村の『破戒』を対象にその待遇表現形式を調査してみた。『浮雲』は近代敬語の成立時期と言われる明治20年に書かれた小説であり、『破戒』は近代敬語の完成時期と言われる明治39年に書かれた小説なので、二作品の中に現れている待遇表現を研究対象にして待遇表現形式の実態を考察してみた。 明治20年の『浮雲』には「お(ご)~なさる」形式が、『破戒』には「~てくださる」形式が最も多く見られた。『浮雲』に「お(ご)~なさる」形式が多く現れていたのはこの形式が『浮雲』の書かれた時代を特色づける形式であったのを物語っているとも言えようである。 また、この形式と対比し得る新しい形式で現代敬語で敬語の動詞表現の中心をなしている「お(ご)~になる」は、明治後期になって定着するようになったからであるか『浮雲』には1例も現れていないが、『破戒』には29例も現れていたのが目立つところであった。また「くださる」式の言い方と「いただく」式の比較では、古い形式の「くださる」式の言い方が「いただく」式より、よく使われていた。「~ていただく」形式が『浮雲』には1例しか現れていないのに対して『破戒』には23例も現れていたのも注目すべきことであった。 それは「お(ご)~もうす」の場合も同じであったが、伝統的な形式の「お(ご)~もうす」は多く使われているのに対して「お(ご)~もうす」に代って次第に使用率の高まっていた「お(ご)~いたす」は、まだ現れていなかった。 現代語でもっとも普通に用いられる形式の「お(ご)~する」も『浮雲』では2例しか見られなかったが、それに比べて『破戒』では37例も見られたし、使用者層ももっと多様化していたことがわかった。つまり、『浮雲』の書かれた時代の明治20年には新しい形式より古い形式が多く、『破戒』の書かれた時代の明治39年には古い形式と共に新しい形式もだんだん使うようになったことがわかった。
참고문헌 (7)
- 小松壽雄, "近代の敬語Ⅱ" (1971), 大修館書店
- 田中章夫, "敬語關係用語集" (1974), 明治書院
- 村敏樹, "敬語の史的硏究" (1968), 東京堂
- 村敏樹, "明治大正時代の敬語" (1973), 明治書院
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- 松村明, "江戶語東京語の硏究" (1957), 東京堂
- 山崎久之, "續國語待遇表現體系の硏究" (1990), 武藏野書院
