伊藤整??幽鬼の街??論
A Study of Sei-Itoh's “Yuukino Machi”(The Ghost Town)
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Abstract
若い日の伊藤整は詩人になることを夢み、小樽から東京に出た。しかし、當時の文壇のダダやシュールレアリズムの新詩風は、伊藤整を絶望させたのである。そのとき伊藤整はジョイスの小説ユリシーズを翻訳するようになり、最先端の文学をいち早く味わうことになった。伊藤整が詩的領域を失ったときに遭遇したジョイス文学は、伊藤整にとって文学の再出発を意味したと思われる。 伊藤整はユリシーズを一生懸命に自分の文学の中に摂取しようとした。その中でも幽鬼の街には、ジョイスがユリシーズの舞台を自分の故郷ダブリンを選んだ象徴性と同じく、伊藤整の故郷小樽という空間が作品構成の特殊性を支えているのである。 幽鬼の街では、ユリシーズから手法を真似、形式的な問題だけに止まろうとはしなかった、伊藤整の意図が伺われる。伊藤整は、英領であったアイルランドの首都「ダブリン」、まだ外地の雰囲気が残された、「小樽」の類似性に着目し、幽鬼の街に受け入れたのである。 伊藤整は、幽鬼の街の時間と空間的特殊性を描くために、「小樽」の異国的な雰囲気を適切に利用した。そのことによって、「小樽」に対する外地認識は、ユリシーズの植民地首都「ダブリン」と旨く並置する部分でもあるが、 「小樽」の特殊性を確認させる部分でもある。それによって、幽鬼の街はユリシーズの真似を越え、伊藤整特有の作品世界が構築されているのである。 幽鬼の街は伊藤整が単なるジョイス手法を模倣したのではなく、自分の創作で見事に生かした作品である。また、ジョイス紹介者として、日本文学の中で、ジョイスの新しい手法を位置づけるための責任を果たした作品でもあろう。
참고문헌 (1)
- "ジェイムズジョイスジデ事典" (1997), 松柏社
