発話時現在を表わす発話 -ル形とタ形の使い分け-
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日本語の発話時現在を表わす発話において、タ形とル形がどのように使い分けられているかを考察した。発話時の内的な情態を表わす発話は、発話時における発話者の感情によってタ形とル形が左右されることがわかる。発話者自身が関心を持っていることに対する喜びや驚き、聞き手に対する親身さを表わす時にタ形が使われ、反面、関心のないことや他者に対する感情などはル形が使われる。「情態」は発話者のみが感じることができるものであるため、テンス的な制約を越えてタ形とル形を使い分け、発話時の情態を巧みに表現しているものと思われる。期待ㆍ発見ㆍ想起のムードのタ形の発話は、ある出来事に対する発話者の関心度を強調するムード性を持っており、期待が成された喜びと、思わぬ発見ㆍ思い出しの驚きを表わすことができる。発話時の外的運動を捉えた発話においては、瞬間的な動きや動き始めた瞬間を捉えた時、さらにその動きを目撃した時はタ形が使うことができる。これに対して、すでに視野の中にありながら、見つけられなかったものを探し出した時や、発話時に聞え続けているものを、そのまま捉えた時もル形で表わす。実況時においては、タ形が発話者や視聴者の、関心の焦点のある動きㆍ速い動きㆍ際どいタイミング等を捉えて、迫力や盛り上がりを表わすことができる。ル形を使うとこれらのマイナス的なムードを表わす。「発話時間」をどう捉えるかを考える時、発話時点を瞬間的な点として捉えるのでなく、話し始めから話し終りまでという幅を持たせることにより、「発話の現場で、話し手が直接<知覚>した出来事」を捉えた発話は、発話時現在を表わす表現の定義付けができるようになる。また、出来事時点より前に話し始め限界終了と同時に話し終える話法と、出来事時点から話し始める話法とがあることも確認した。
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