闖入の歴史学、あるいは破綻する普遍 -崔南善の朝鮮史研究をめぐって-
A History of Irruption or the Collapse of Universality : On CHOI Nam-Sun and his Study Korean History
0
조회
0
다운로드
2
인용
0
참고문헌
키워드
초록
本稿は、崔南善の朝鮮史研究を中心として、情熱的な民族主義者であったかれが帝国日本のイデオローグに化していった軌跡を追うことを目的とする。しかし本稿は、そのような崔の転向を断絶や豹変、もしくは抵抗の論理として読解することを拒み、朝鮮に「普遍性」が孕まれているといったかれの主張が、帝国のイデオロギーとして矛盾なく擦りこまれていく過程をえぐりだそうとするものである。なぜなら、「普遍」に対する渇望という点において、民族主義とファシズムはさほど異なるものではないように思われるからだ。崔南善は『不咸文化論』に代表されるいくつかの著作において、「檀君」や「밝park」などの概念から朝鮮文化および東洋文化の起原を考究し、その「普遍的」な性質が世界の所々に散見しているという独特な論理を展開した。これは、当時の日本人の朝鮮史研究者たちの諸議論を覆すものであって、植民者側に当惑と不快感を与えるものとして機能しえたともいえる。われわれはこのような崔の戦略を「流用appropriation」、あるいは「ミミクリmimicry」という被植民者の巧みな抵抗の手立てとして読み替えることもできる。しかしながら、「普遍」への欲望をその懇願としていた崔の戦略は、帝国日本の「大東亜共栄圏」言説などという現実的な地平と交差せざるをえなくなり、また崔南善本人もそのような新たな「普遍」の建設に積極的に投企していくようになる。この地点において崔の論理は、「普遍」への欲望をその原動力とするファシズムの原理を充実に表現するものになったが、それは上述したように、かれの民族主義的な思想においてすでに芽生えていたものである。このような崔の議論を、思想的な転向、あるいは帝国の新秩序のなかにおける新たな民族主体の形成の試みとして解釈してきた従来の研究には、民族主義とファシズムの相違という認識が大前提として据えられていたといえるが、本稿はむしろ崔南善の例を通じて、民族主義とファシズムに共有されている「普遍」への欲望を描きだすことを目指している。それによって、崔の諸作業には個人的な思想の変化といった問題を超えて、植民地や戦争という時代の変奏が刻みこまれていたことが明らかになってくるだろう。
참고문헌 (20)
- 酒井直樹, "日本人であること", 思想, (882) (1997)
- J·P·サルトル, "植民地の問題", pp.65~ (2000), 人文書院
- 沈煕燦, "実証される植民地、蚕食する帝国", 季刊日本思想史, (76) (2010), ぺりかん社.
- スチュアート, ""ジャマイカの宗教イデオロギーと社会運動" 磯前順一, In 宗教を語りなおす , 所収" (2006), みすず書房
- ジーグムント, "ユーモア", フロイト著作集, 3 (1982)
- ジル, "差異と反復" (1992), 河出書房
- ジャック, "根源の彼方に" (1972), 現代思潮社
- 趙寛子, "植民地朝鮮/帝国日本の文化連環" (2007), 有志舎
- 朝鮮総督府中枢院, "心田開発に関する講演集", ~ (1936)
- 朝鮮史編修会, "朝鮮史編修会事業概要", 221~230 (1938)
- ミハイル·バフチン, "フランソワ·ラブレーの作品と中世·ルネサンスの民衆文化, In ミハイル·バフチン全著作第七巻" (2007), 水声社
- 日本歴史地理学会, "歴史地理 , 臨時増刊朝鮮号" (1912), 三省堂書店
- 李成市, "コロニアリズムと近代歴史学, In 植民地主義と歴史学 所収" (2004), 刀水書房
- 李成市, "植民地期朝鮮におけるマルクス主義歴史学, In マルクス主義という経験,所収" (2008), 青木書店
- ハリー, "近代による超克" (2007), 岩波書店
- フレドリック, "異なる近代を鏡として", 批評空間, 11(1), pp.80~ (1994)
- ホミ, "文化の場所", pp.148~149 (2005), 法政大学出版局
- Ashis Nandy, "The intimate enemy : loss and recovery of self under colonialism" (1988), Oxford University Press
- Dipesh Chakrabarty, "Provincializing Europe : Postcolonial thought and historical difference" (2000), Princeton University Press
- Partha Chatterjee, "The Nation and Its Fragments : Colonial and Postcolonial Histories" (1993), Princeton University Press
