谷崎潤一郞の文學における古典物と現代物の交替
Repeated a Classical Taste in Tanizaki's Literature
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Abstract
一般に谷崎潤一郎は日本耽美派文学の代表的な作家として知られており、中期以来晩年の文学において古典風の作品を集中的に発表しているというふうに理解されている。本稿では、昭和初期から徐々に増えてきている古典風の創作を、谷崎の文学的生涯における反復作用の一環として考察してみた。そこで「古典への回帰」とされる昭和初期以来の谷崎文学の在りようを検討し、その文学的生涯を題材や「物語の気分」を中心に谷崎文学を分類してみると、出発期(第一期)と昭和初期(第二期)、そして少将滋幹の母以後(第三期)の三回にわたって古典物と現代物の反復が行われていることが分かった。 すなわち、第一期においては実質的な処女作である誕生をはじめ、 像、刺青、麒麟、信西などが古典風の作品であり、これに継ぐ 颯風、少年、秘密、悪魔、あくび、羹、饒太郎などが現代物である。第二期は作者の関西移住後十余年間にわたって、蓼喰ふ虫、三人法師、乱菊物語、盲目物語、 武州公秘話、 春琴抄、 聞書抄などの古典物・歴史物が続く。後は吉野葛、蘆刈、猫と庄造と二人のをんな、初昔、きのふけふ、細雪、磯田多佳女のこと、 疎開日記などの現代物に交替する。第三期は昭和二十四年以来の少将滋幹の母、小野篁妹に恋する事、乳野物語、新訳源氏物語などの古典物と、以降の現代物を中心にした創作活動という反復の形である。 谷崎文学における古典物と現代物の反復的な交替はこれまで指摘されたことがないが、(既存の見解とは別に)本稿では文壇と読者の注目を引くために新しい方向性を求める谷崎の戦略として捉えてみた。
참고문헌 (7)
- 谷崎潤一郎, "谷崎潤一郎全集 第一巻、第二〇巻、第二一、第二二巻、第二三巻" (1967), 中央公論社
- 明里千章, "谷崎潤一郎―自己劇化の文学" (2002), 和泉書院
- 野村尚吾, "谷崎潤一郎の作品" (1975), 六興出版
- 野口武彦, "谷崎潤一郎論" (1974), 中央公論社
- 前田久徳, "陰翳の美学―「少将滋幹の母」の構造と方法", 国語と国文学 (1983), 東京大学国語国文学会
- "第三次 「新思潮」" (1911), 臨川書店, 昭和四二年復刻版
- "第三次 「新思潮」", (6) (1912), 臨川書店、昭四二年復刻版
