『平家物語』における時間表現 -テンス·アスペクトを中心に-
The Time Expressions of The Tale of the Heike -Focus on Tense and Aspect-
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초록
この論文は『平家物語』における時間表現をテンス・アスペクトの観点から考察したものである。<地の文>と<会話文>に分け、時間を表す形式がどのぐらい用いられ、もっとも多く用いられた形式は何かなど、その使用頻度を統計を出して分析を行った。その結果、<地の文>では「キ」「ケリ」「ツ」「ヌ」「タリ」「リ」の六つの形式の中で「ケリ」が一番多く用いられ、「ツ」はその用例数が少なかったのに対し、<会話文>では「タリ」が一番多く用いられ、「ツ」と「キ」の使用も<地の文>に比べて多かった。「ケリ」と「ケリ」がついた複合形式である「ニケリ」「タリケリ」が<地の文>で平均97%を占め、<会話文>では2~3%しかあらわれていないことから、「ケリ」は<地の文>専用の形式であったとも言えるだろうと思う。また、複合形式において<地の文>では多かれ少なかれ各形式(「ニキ」「ニケリ」「テキ」「テケリ」「タリキ」「タリケリ」)が全部用いられているが、<会話文>では「ニキ」「ニケリ」「タリケリ」などの三つの形式しかあらわれていなかった。そして、<地の文>では「-ヰタリ」「-ヰタリケリ」が用いられているが、<会話文>では一例も見当たらなかった。一方、<地の文>では見当たらなかった「タ」形と「テアル」形が<会話文>ではあらわれている。「タ」形と「テアル」形が<会話文>で用いられることから中世の当時の生活では「タ」形と「テアル」形が既に使われたことが予想できる。テンス・アスペクトの特徴を簡単にまとめると、①動作継続の意味をあらわしていた<はだかの形>が「ヰタリ」「テアル」のような有標形式によって、その意味を失い、現代語の「スル」のように非過去完成相として用いられるようになる。②ムード的な意味が強かった「ケリ」に含みとして持っていた過去というテンス的意味が強くなる。③結果継続やパーフェクトの意味を持っていた「タリ」に含みとして持っていた過去というテンス的意味が強くなることによって次第に元の意味を失っていく。そのためこの時期になると、テンス的には過去を、アスペクト的には完成相をあらわす例が多くなる。「タリ」の変化と共に「ヰタリ」「ヰタリケリ」も過去の意味に変化するようになる。「タリ」の変形である「テアル」と「タ」形が用いられ、三つの形式の共存が見られる。この三つの形式はテンス・アスペクト的な面で、「テアル(テンス:非過去、アスペクト:継続相)」→「タリ(テンス:非過去・過去、アスペクト:継続相・完成相・パーフェクト)」→「タ(テンス:過去、アスペクト:完成相)」という連続線上に置かれている。以上、本稿で取り上げなかった『天草版平家物語』を含め、動詞の分類や分析は今後の課題としたい。
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