現代日本語の若者ことばとその使用意識に關する一考察 - 語法を中心に -
A study about the grammar & usage used by today's Japanese young people
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言語は社會と密接にフィードバックし合いながら変化している。したがって屬性的な觀点から日本語運用を考察することは、日本社會の樣相や、日本人の意識を考察することを意味する。 本稿の目的は、現代日本の時代狀況や大衆心理を反映しているとも言える若者ことばに對する發生論的アプローチを通して、現代若者の心理の一端、對人關係觀、社會的要因を考察することである。 1990年代の前半以降、若者ことばにおいて顯著に見られる特徵は、あいまいな表現を使って斷定を避ける「あいまい語」の普及である。「あいまい語」は世代を超えて適応現象をおこしつつあり、日本人のコミュニケーション方法の変容を分析するうえで重要な意味をもつ。 「あいまい表現」は1)話し手自らや話し手だけが旣知の情報を客觀化する用法、2)斷定することを回避することによって、話し手の發話の表現をやわらげる用法、3)聞き手への敬意的配慮を表す丁寧語的表現に大別できる。1)、2)の客觀化・やわらげ用法は共に聞き手との對立、聞き手からの攻擊を回避しようとする自己防衛的な意識が働いた用法であると考えられる。また3)の丁寧語的表現は敬語使用に不馴れな若者たちが相手との距離を調節するために使用するストラテジーである。 1990年代以降、若者たちの間で急速に普及してきた若者ことばは、その談話においては日本人の集団主義という伝統的思考を背景にしていると言えるものの、根底には聞き手に對する配慮よりも、むしろ聞き手の考えと違うことへの不安や、聞き手からの攻擊によって自らが傷付くことを避けるための自己防衛型の用法であると考えられる。 若者たちの間で「あいまい表現」が使われるようになった時期は、ちょうどバブル経濟が崩壞し、経濟が10年以上にわたって低迷した長期不況の時代であり、弱者、强者が明確になるニューエコノミーが定着した時代であった。「あいまい表現」の發生は、そういった時代を背景としての自信喪失、自己防衛といった若者心理に起因するものだと考えられる。
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