再帰性補語と状況補語-対象をあらわさない「を」について-
Reflexive object and environmental object On Wo-case complement which dose not mean the object of transitive verb
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Abstract
格助詞の「を」には、他動詞について対象をあらわす用法や、起点や経路の場所をしめす用法のほかに、自動詞とおもわれる動詞とともにつかわれたり、他動詞とともにつかわれてもその他動詞の対象をあらわしてはいないとかんがえられる用法がある。本稿では、これらのヲ格補語には「再帰性補語」と「状況補語」があることをしめしたうえで、おもに再帰性補語について分析した。 対象の「を」がつかわれる他動詞構文においても、そのヲ格の位置に主体の身体の一部や身体に一体化して認知される対象があらわれるときには能動構文とは区別される再帰態というべき構文となり、直接うけみがつくられない。本稿では、「太郎が口をあいた」のように、対応する他動詞をもつ自動詞とおもわれる動詞とともにつかわれ、他動詞によってもほぼおなじ事態を表現することのできるヲ格補語は、他動詞が再帰態となるときと同様の条件下で再帰構文専用の形式として成立するもので、それが再帰態であることを明示的にしめす機能をもっているとかんがえる。また、一部の有対動詞においては、自動詞においてしかこのような再帰構文がつくれないものがあることもわかった。 これに対して「嵐の中を歩いた」というようなときのヲ格補語は「状況補語」というべきもので、これは「ところを」「中を」などのかたちでしかあらわれず、後続する動詞にも制限がある。動作主とヲ格補語があらわしているものとの一体化という点で「状況補語」と「再帰性補語」は共通しているが、「状況補語」が「経路」をあらわす用法のメタファーとして主体をつつみこむものとの一体化を表現するのに対して「再帰性補語」は主体のある部分を焦点化し、その部分に主体を代表させる点でことなっているとおもわれる。
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